主流ともいえるカルシウム拮抗薬の特徴

降圧剤には様々な種類がありますが、今回取り上げるカルシウム拮抗薬が一番採用されている種類となります。その理由を仕組みから見ていきます。
カルシウム拮抗薬は文字の通りなら、カルシウムに拮抗する薬となります。つまりカルシウムに対抗する薬です。それでは血圧が上がる原因はカルシウムにあるということなのでしょうか。カルシウムは骨や歯を丈夫にするから積極的に取りなさいと子どもの頃に一度は言われたと思われます。それと血圧に関係はあるのでしょうか。
体内にあるカルシウムの大部分は骨や歯となります。しかしごく一部は、カルシウムイオンとして細胞の機能を調節しています。実はこのカルシウムイオンが血圧上昇をもたらしています。
血液が流れる動脈血管の壁には平滑筋という層があり、これが収縮することで血管が細くなり血圧が上がります。血管の壁に刺激が加わることで、カルシウムイオンが流入し血管が収縮、血圧が上昇することになります。
カルシウム拮抗薬はこのカルシウムイオンの流入をガードする薬となります。流入する入口に駐在してガードする形になるので、同時に血管を拡げることになり、血圧を下げることになります。さらに血液の流れが良くなり、心臓や腎臓といった臓器の循環を良くすることにもなります。これがカルシウム拮抗薬の大きな特徴です。
このように血圧を下げる以外の効果が見込めるのが主流となっている理由ですが、副作用もあります。血流が良くなることによって顔のほてりやむくみ、歯肉の腫れ(増生)などの発生が挙げられます。特に女性に副作用が出る傾向にあります。
しかし他の降圧剤より血圧を下げる効果が高く、また薬価(薬の単価)が安いという理由もあり、一番採用されている降圧剤となります。服用の際は医師の説明をよく聞き、適切にお使い下さい。

アンギオテンシンII受容体拮抗薬のアンギオテンシン

降圧剤にはアンギオテンシンII受容体拮抗薬とよばれるタイプのものがありますが、このアンギオテンシンは、ヒトの体内で産生され、おもに心臓の収縮力を高めるはたらきをもって、血圧を上昇させる物質とされているものです。
アンギオテンシンにはIからIVまでの4つの種類があり、そのおおもとになる物質は肝臓で産生されています。これが腎臓から分泌されるレニンとよばれる酵素のはたらきによって、まずはアンギオテンシンIという物質に変化します。
アンギオテンシンIには、実は他の種類のように単独で血圧上昇効果があるわけではなく、これがアンギオテンシン変換酵素、略称でACEとよばれる酵素のはたらきによってアンギオテンシンIIになることによって、はじめて血圧上昇効果があらわれるのです。
したがって、アンギオテンシンIIが体内でつくられないようにすれば、血圧が下がるということになりますので、降圧剤はこの部分に注目した医薬品であるということができます。
アンギオテンシンII受容体拮抗薬は、アンギオテンシンIIが受容体とよばれる部分に結合することによってはじめて血圧上昇効果があらわれることを踏まえ、先回りして受容体をブロックしてしまうというタイプの降圧剤です。
いっぽう、似たような降圧剤の一種として、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、あるいはACE阻害薬とよばれるようなタイプのものもあります。こちらはアンギオテンシン変換酵素のほうのはたらきを阻害するという作用があるため、アンギオテンシンIIがつくられることがなくなり、結果として血圧が上昇せずに済むということになります。
降圧剤には、このほかにもさまざまなタイプのものがあり、症状に応じて使い分けがなされています。

降圧剤による認知症のリスク

高血圧と認知症の関係については、医学の世界でも比較的多くの論文で取り上げられてきたテーマといえます。認知症にもさまざまなタイプがありますが、脳血管障害、たとえば脳梗塞や脳内出血といったことが引き金となって起きる脳血管性認知症については、高血圧はあきらかにリスク要因となり得ます。
高血圧の人では血液を押し出す力が普通よりも強く、血管の壁には過大な力が加わっており、慢性的な症状がある人であればなおさらといえます。そのため、血管が負担に耐え切れずに切れてしまったり、動脈硬化のようにもろくなってしまうということになりやすいのです。このようなことから、高血圧症の人には病院で降圧剤が処方され、血圧が高くならないように抑えるという対策がとられます。
降圧剤にはさまざまな種類がありますが、基本的によほどの副作用がない限りは、決まった時間や回数にしたがって飲み続けるのがよいとされています。ところが、最近ではこの降圧剤を服用することが認知症を引き起こすリスクになっているのではないかという言説もみられます。水分などで血液の量が多いと血圧も高くなりますので、降圧剤によって脳に流れる血液を強制的に少なくしてしまうことが、認知症のリスクを高めるという趣旨のようです。
しかし、もともと高血圧そのものが認知症のリスク要因であることから、降圧剤が原因であるかどうかは断言はできず、逆に服用しないことによる脳梗塞などのリスクをどうとらえるかが問題となってきます。さらには降圧剤のなかでもカルシウム拮抗薬とよばれるものには認知症の予防効果があるのではないかという研究もあり、結局のところはよくわからないというのが真実のようです。